秘密の舞台裏

スタッフ「……はいカットです! お疲れ様でしたぁ!」
スタッフ「お疲れさまでーす!」
シキ「あ〜、寒いッ」
クリフ「寒かったー!」
クレオ「今日はエイル君との掛け合い、かなり上手くいったね〜」
エイル「僕アドリブ多かったけど、クレオさんがのってくれたんで助かりました」
クレオ「あはっ、止まんなくなっちゃうのがちょっとアレだけどね。でもエイル君は本当に早口だよね〜。尊敬しちゃう。早いし、何より綺麗だもん、発音が」
エイル「そんな、誉めても何も出ないですよ〜(笑)」
―― 四人が言い交わしてるところに監督登場。
監督「いやぁ、お疲れ!」
クリフ「お疲れでしたぁ」
エイル「お疲れ様です」
監督「今日は長丁場だったからねぇ、大変だったでしょ? でもみんないい演技だった! 素晴らしかったよ」
四人「どうもありがとうございます」
監督「外ロケ多いんできついとは思うんだけどさ。まだ続くわけだし、風邪なんかひかないようにね」
クレオ「くしゅっ」
監督「あーあー、早速?(苦笑) 夕方は冷え込むよね。コーヒーでも飲む?」
クレオ「あ、頂きます」
―― 監督、スタッフにコーヒーと椅子を持ってくるように指示。そこへリューク登場。
リューク「お疲れさん!」
シキ「おっ、リュークじゃん。久しぶり!」
―― 二人、肩を叩きあう。
監督「仲いいんだね、随分」
クリフ「あれ、監督はご存じなかったですか? 実はシキさんとリュークさんって同級生なんですよ」
監督「え〜! 知らなかったなぁ。クリフ君とクレオちゃんが同級生で、実はご近所さんってのは知ってたけどね」
クレオ「ええ、家族ぐるみで仲良しなんですよね」
リューク「二人はよぉ似とるよな、やっぱり同じもの食っとるからかな? 俺は若くてシキがふけ顔やから、俺らは同い年に見えんやろw」
シキ「てめぇのは童顔ってんだよ」
リューク「あはははは」
クリフ「お疲れです、リュークさん。今日はどうしたんですか?」
リューク「クレオちゃんに会いに来てん♪」
クレオ「またまたぁ!」
リューク「いや出番少ないし、忘れられたらかなわんなーと思て。……とかゆうて、遊びに来ただけなんやけど」
―― スタッフが監督に耳打ち。
監督「あ、そう。じゃあロケ車の方でセッティングしといて」
エイル「? 何ですか?」
監督「いや、お疲れのトコ悪いんだけどさ、インタビュー入ってるんだよ」
―― マネージャーが割って入って
マネージャー「えっ? 聞いてないですよ! クリフとクレオはこの後もまだ打ち合わせあるし……」
監督「分かってるって。断れなかったんだよ」
マネージャー「勝手に引き受けてもらっちゃ困りますよぉ、こっちにも都合があるんですから〜」
監督「ままま、そう言わないで。宣伝にもなるから。ね!」
―― マネージャーが押し切られた形でしぶしぶ引き下がる。
スタッフ「用意出来ましたぁ!」
監督「おっ、じゃあ悪いけど頼むよ」
リューク「ほな俺はこれで。またな、クレオちゃん……と他三人」
シキ「あははは、相変わらず原作に忠実な奴だな」
―― その言葉も聞かず、スタッフの女の子を口説き始めるリューク。四人はインタビューのために車に向かう。
クレオ「……インタビューだって。全然聞いてないし。監督も調子いいよね〜」
エイル「ホントですよね。僕はいいですけど、クレオさんはこの後、次回の打ち合わせがあるんでしょ?」
クレオ「そうなのよ。困っちゃう〜。でももう断れないよね〜」
エイル「クレオさん、断るのとか苦手そうですもんねー」
―― クリフがマネージャーと相談。
クリフ「やばくない? 時間、大丈夫かな」
マネージャー「ええ、まあ。十五分とかで終わってくれれば、って感じですね」
クリフ「俺はまあいいんだけどさ、クレオちゃんの食事とかは? 用意してあるの?」
マネージャー「はい手配してあります。……って、相変わらず細かい配慮ですね、クリフさん」
クリフ「そういう性格なんだよ(苦笑)」
―― みんながいなくなったあとで、シキが監督を手招きしている。
監督「あれ? 早く行ったほうがいいんじゃ……」
シキ「ちょっとちょっと、いいからこっち」
監督「何、何だよ」
シキ「あいつ勘弁してくれよ。俺もういい加減切れるぜ」
監督「あいつって……演出?」
シキ「そう。エイルとの絡みも結構きついしさ。大体、脱ぐシーンとか最初はなかったじゃん」
監督「ああ、闘技場の……。いやまあ確かにそうなんだけどさ、ま、これもサービスって言うかさ」
シキ「風邪ひくなって言われたって、あれじゃあどうしたって体調崩すよ」
監督「最終的にはあのシーン削るから勘弁してよ。エイル君との絡みは……まあ役柄上仕方ないねえ」
シキ「やりにくいんだよね、あいつアドリブ多いし」
監督「まあまあ、役者だろ。頑張ってくれよ。……あ、ほらもうインタビュー始まるから!」
シキ「まったく……」
 
―― インタビュアーの女性と主役四人が座り、カメラマンが撮影を始めている。
インタビュアー「じゃあ早速なんですけど、始めますね。宜しくお願いします。……えっと、まずはお疲れ様でしたということで。お一人ずつ感想というか、手ごたえみたいなものをお聞きしたいんですが。……じゃ、クリフさん、お願いできますか?」
クリフ「あ、はい。えっと第四章が終わったわけですけど、僕個人としてはまあまあ、上手く演れたかなと思ってます。まあ、ここは静の部分っていう感じなんで……。むしろ次章の方が気になってるんですよね。次は気合い入ってますよ(笑)」
インタビュアー「なるほど。クレオさんは?」
クレオ「ここんとこ女の子っぽい演技が求められてるんで、なんていうか、やりやすいですね。個人的には宿屋で拗ねるシーンが気に入ってます」
インタビュアー「あれは可愛かったですよね」
クレオ「ありがとうございますv」
インタビュアー「エイルさんはどうでしょうか」
エイル「僕は今回あまり出番がないんで……まあ最初の方だけですよね。かなり『わがまま王子』をやらせていただいたんで、シキさんにはご迷惑だったと思うんですけど(笑)」
―― 一同、笑う。
インタビュアー「シキさん、どうですか、その辺は?」
シキ「そうですね、まあ騎士役なんである程度は仕方ないですよ。四章より、一章で背負う時が辛かったですね(苦笑)」
エイル「その節はお世話になりました」
―― エイルが深々と頭を下げたので、再びみんな笑う。
インタビュアー「でもシキさんは体鍛えてらっしゃいますよねー。ルックスもいいし、女性ファンも多いと思いますけど、やっぱり私生活でももてるんでしょう?」
シキ「いや、そんな事ないですよ。キャラ違うんで、シキを期待されるとちょっと……俺、あんなに優しくないですから(笑)」
インタビュアー「そんなぁ。ちなみにシキさんはどういうタイプの女性が好みなんですか?」
シキ「そうだなあ、さっぱりしたタイプのお姉さんが好きですね。って、今のはプライベートな質問ですか?(笑)」
インタビュアー「あ、すいませ〜ん」
―― インタビュアー、苦笑しながらしっかりメモを取っている。
インタビュアー「……えーっと、では次に、クレオさんとエイルさんは実際、仲がいいんですか?(笑)」
エイル「あはは、もちろんですよ。ね?」
クレオ「そうですね、絡みも多いんで一緒に練習したりしてますし、仲良くやらせてもらってます」
インタビュアー「そうなんですか。じゃあクリフさんとはどうですか?」
クレオ「双子って設定なんで、息を合わせるのがやはり大変ですね」
クリフ「ちょっとした仕草とか、かなり研究してるんですよ。……やっぱり同じ台詞を同時に言う、ってのが難しいです。声も同じって設定なんで」
インタビュアー「なるほど。あ、クリフさんは最近身長が伸びてきてますよね」
クリフ「そうなんですよ。元々クレオさんとそれほど似てるわけじゃないんで、ちょっと困ってるんです(苦笑)」
クレオ「今はお化粧の技術がすごいですから、誤魔化してもらってるんですけどね」
インタビュアー「へえ。……あ、ちょっと並んでいただけます? 写真を一枚……あ、どうも。……じゃあ、これからの展開について、言えるとこまででいいんで聞かせてもらえます?」
シキ「次章はかなり目まぐるしいです。あ、アクションシーンが多いですよ」
クリフ「俺とシキさんが出番多いですかね? いや、でも四人ともそれなりに見せ場がありますよね」
エイル「LLでは大事なとこですよね。ストーリーというより心理的な問題で。ってこれ以上はちょっと(笑)」
インタビュアー「ありがとうございました。お時間いただいちゃってどうも……」
―― 四人が立ち上がり、挨拶を交わして車を出て行く。
インタビュアー「はぁ……やっぱりシキさん格好いい……」
カメラマン「性格悪いって噂ありますけど、そういう感じじゃなかったですね」
インタビュアー「噂は噂だもん。いいなぁ、エイル君が羨ましいよ」
カメラマン「『さっぱりしたお姉さん』目指してくださいよ(笑)」
インタビュアー「あははは、頑張ってみるか」
 
クリフ「お疲れ様でした」
シキ「クレオとクリフは打ち合わせ残ってるんだっけ。じゃあ俺はこれで。お疲れ、お先です」
―― 私服に着替えたシキをエイルが追いかける。
エイル「シキさ〜ん、こないだ遊びに連れてってくれるって言ってたじゃないですか、連れてってくださいよ〜」
シキ「そんな事も言ってたっけ?」
エイル「もー!」
シキ「分かった分かった、じゃあ行くか。ただし酒はなしの方向で」
エイル「えー、マジですかぁ?」
シキ「未成年だろー。マネージャーに俺が怒られるじゃん(笑)」
―― クリフとクレオも私服に戻り、打ち合わせに向かう。
クリフ「今日はお疲れ様でした。次章も頑張ろうね」
クレオ「だね! あ、撮影中も色々気を遣ってくれて、ありがとね♪」
クリフ「いえいえ。……そうだ、クレオちゃん、聞いた? 例の***さんの話」
クリフ「あ、聞いた聞いた〜。あの人、かなりやばいって噂。で、あれって本当の話なのかな〜?」
クリフ「さあ俺は知らないけど……まあなるようにしかならないよね」
クレオ「そうだね。まあ私らは頑張っていい仕事するしかない!(笑) 今後とも宜しくお願いします」
クリフ「あ、いやこちらこそ。宜しくお願いします」
クレオ「頑張ろうね! まずは次章の打ち合わせから(笑)」
―― 二人は笑いながら、打ち合わせ用の移動車に乗り込む。


神崎より
すいません、ちょっと遊んでみたかったんです〜。つい、出来心で……。
「映画撮影中の一コマ」的な感覚で書いてみたんですが、好き嫌いが分かれそうですね、こういうのは。
いかがでしたでしょうか。お嫌いでない方はご感想いただければ嬉しいです。
お嫌いな方は……「どうも失礼しました、忘れてください」としか言いようがないっす。(^^;)

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