明けの明星

−1−

「ったく……どうなってんだよ」

突然呼び出されたかと思えば、ただ待ってろとか言われて、こんなかび臭い書斎に延々と放置されて……。大体こんなに本ばっかの部屋でよく生きていけるな、あいつは。俺は息苦しくて駄目だ、耐えられねえ。ああもう、どれだけ待たせるつもりなんだ、ほんとに。

「こんなとこ、いつまでもいられるか」

再び文句を口にすると、突然、右耳の真横で声がした。

「『こんなとこ』とはひどいね」

思わず耳を押さえて振り返る。そう大きな声ってわけじゃなかったが、いきなりじゃ、誰だって驚く。

「ヴィト! 気配を消して近づくなって、いつも言ってんだろ!」

「この気配にも気づかないようじゃ、リュークもそろそろ盗賊引退かな」

なんて陰険な言い草だ。

「紹介しよう、ゼルアルだ」

俺が言い返してやろうとしてるのを無視して、ヴィトは俺の横を通り過ぎた。こいつはいつだってそうだ。言いたいことだけ言って、人の事はまるで無視しやがる。

ヴィトの後から部屋に入ってきたのは、恰幅のいい親父だった。

ゼルアルか、俺も名前だけは聞いた事がある。裏家業じゃ有名中の有名どころだ。仕事となれば容赦もなく人を殺すってんだから物騒な話だ。何でも、若い頃はずいぶんと荒稼ぎしたらしいが……。確か今はどっかの町で盗賊ギルドの長をやってるんじゃなかったかな。

「ゼルアル、彼がリュークです。通り名はグレイ。若く見えるけど大抵の仕事はこなしますよ」

ヴィトが俺を紹介した。黒い、床までつきそうなほど長いローブに身を包み、眼鏡の奥から人を見透かすような視線を投げる。俺はどうもこれが苦手なんだ。こっちが考えてる事が、何もかもばれてるような気がしてくる。

ゼルアルは太い腕を組んで、俺の事をじろじろと眺め回している。俺を値踏みしてんだな。なんだか知らねえが、面倒な事になりそうな予感がするぜ。

「で、リューク。こちらがゼルアル。盗賊のはしくれなら名前くらいは知ってるだろうね」

「ああ、有名人だもんな。あんたの顔は貴族どもにも知られすぎてんじゃねえか」

皮肉ってやったつもりだったが、ゼルアルは鼻を鳴らして笑っただけだった。この野郎、俺を馬鹿にしてやがる。

「お前、いくつだ? 見たとこ十五、いや十四ぐらいか」

「ふざけんな、俺は十七だ」

「ふてくされると余計に子供っぽく見えますよ」

ご丁寧にヴィトが忠告する。余計なお世話だ。

「十七か。おいヴィト、あんたを信用しないわけじゃねえが、今回の仕事、本当にこいつ以外頼める奴はいねえのか?」

「彼がうってつけだと、私はそう言いました。仕事をこなせるのは他にもいます。ただ今回の事は……」

「ああそうだな」

何を二人で頷きあってんだ、俺にはまったく話が見えやしねえ。いい加減に二人でこそこそ言ってねえで俺にも説明してくれよ……と思ってたら、ヴィトがこっちを振り返った。

「今、説明しますよ」

ほらみろ、これだ。何で俺の考えてる事が分かるんだ、こいつは。いや本当に分かったわけじゃないんだろうが、間がいいというか悪いというか、とにかくいつもこうやって先手を打たれる。癪に障って仕方ないけど、俺はどうもこいつに勝てないんだ。本当に、腹が立つったらないぜ。

「お前さんにに頼みたい仕事があってな。ヴィトに任せてもよかったんだが……まあ俺の目に適うかどうか直接会いに来たってわけよ」

古びた机の角に腰をかけ、ゼルアルの親父が話し出す。あーあ、それ以上体重をかけたら机ごとぶっ壊れんぞ? 俺は、ゼルアルのけつの下で悲鳴を上げてる机を見ながら言う。

「で、俺は合格か? 不合格か?」

「ま、合格にしてやってもいい。まだ分からんがな」

けっ、偉そうにほざきやがって。

ヴィトはといえば口元に笑みをたたえて――いつだって笑ってるんだ、こいつは――俺とゼルアルのやり取りを見ている。こいつは情報屋だか何だか、怪しい仕事をもってきては俺に押しつける。ヴィトは困ってる俺を見て楽しんでるんじゃねえか、と最近思う。

「仕事の内容だが、お前を見込んで、盗んで欲しいもんがある。ヴィトに言わせると、誰よりお前に向いてるもんだそうだ」

「何を盗めって?」

「ジータって男を知ってるか?」

……もったいぶってねーで、さっさと言えっつの。

「知らねえな」

「ジータはイェダの町に住んでる大富豪でな。こいつが何と言うか……まあ、一言で言えば最低の男だ。更に言うと、盗賊ギルドの長だった男だ。俺が追放したがな」

「さぞかし恨みを買ってんだろうな」

「まあそうだろう」

「で?」

「そのジータが大切にしてるもんがあるんだが……」

「そいつを盗んでこいってわけか?」

「いやそうじゃねえ。お前、はやとちりだな」

ほっとけ。結局、何が言いたいんだ、この親父は。

「だから何なんだよ、はっきりしろよ」

「名前はエレフォア」

「宝石か彫刻か、それとも絵か」

「いや、人間の娘だ」

どういうこっちゃ。

「もっと正確に言えば、ジータの娘だ。そろそろ十六だそうだ」

十六か、そりゃ楽しみだ。まあ三十でも綺麗なお姉さんはいるし、年齢はたいして問題にならねーけどな。俺の許容範囲は広いんだ。

「お前に頼みたいのはその娘の事じゃあない。目的は、ジータがエレフォアにやった石だ」

なんだ石かよ、つまんねえ。

「この世に二つとない、美しい宝石でな。名前は娘と同じ、エレフォアだ。娘はいつもそれを身につけているらしい。だいたいこんなもんだ」

ゼルアルは太い指で丸を作ってみせる。……大物だ。娘より狙い甲斐がありそうだな。

「ミコル酒のような透き通った赤で、それはそれは美しい。値段には換算できん。それを盗んできて欲しいってわけだ」

何でそれが欲しいんだ? ……ってな事を聞くのは野暮ってもんだ。人には事情がある。ヴィトがもって来た仕事だ、どうせ複雑な裏事情って奴があるんだろうが、俺には関係ない。頼まれた仕事をこなすだけだ。それに、それだけの極上品とくれば俺の血が騒ぐ。獲物が大きければ、俺の名も売れるってもんだ。

いつもの癖で前髪をかきあげ、俺は営業用の笑顔を浮かべて頷いた。

「俺に任せとけ」

−2−

「これ、これも可愛い! ねえどっちにしよう?」

ヘルタが困ったような顔でこっちを見ている。まったく、いっつもこうなんだから。いくら護衛でついてきてるとは言え、ちょっとは買い物にも興味示してよね。

「このぬいぐるみも可愛いけど……あっちのも欲しいのよね。ヘルタはどっちがいいと思う?」

「私にはよく分かりません」

もうっ! ……ああ、こんな無骨な護衛兵を連れて買い物なんて、つまんないわ。お父様は私の安全のためだなんて言うけど、こんなに人がいっぱいいるとこで危険な事なんか起きっこないのよね。

「もういい、服を見に行くわ」

「お供します」

ついてこなくてもいいってのよ。例え何かが起こっても、ヘルタに助けてもらうんじゃちょっとねえ……。ううん、ヘルタだけじゃないわ、アルゴスもカーザもみんな似たようなものよ。ほんとに、うちにはもう少しましな顔の護衛兵はいないのかしら。

市場の雑踏を歩いてると、あちこちで仲のいい恋人が目につく。まったく、なんでこんなに多いのかしら。私は一人だっていうのに。お父様の監視の目が厳しくて、一人の恋人も出来ないなんて。私はもうすぐ十六なのよ。……なんてったって、斜め後ろからついてくるのはむさ苦しい護衛兵。あーあ、私も素敵な人と、素敵な出会いをして、素敵な恋をしてみたいわ。

「あっ!」

え? 私の横を通り過ぎた瞬間、誰かが声を上げた。その誰かが、私の肩を掴む。ヘルタが慌てて寄ってくるのを感じながら、私は引っ張られるままに振り返った。

「カルラ! カルラだろう?!」

私の両肩を揺さぶる人を見つめる。思わず息が止まった。ちょ、ちょっと、信じられない。まるで夢のよう。……なんて格好いいの! 整った顔立ちに、長い前髪がかかってる。ちょっとつり目だけど、青みがかった黒い瞳に引き込まれそう。年は私よりちょっと上、かしら。ああその必死な顔も、声も素敵だわ……と、うっとりしてたら。

「おい! 何者だ、お嬢さんから離れろ!」

あらヘルタ、いいのよ。んもう、そんな乱暴にしたらかわいそうじゃない。ヘルタに引き剥がされて、美形の彼は思わずよろめいている。

「あ、ああすいません……」

立ち直ると、彼は改めて私の顔をじっと見た。私と彼の間にいるヘルタなんか、見えてもいないみたい。私も彼を見つめた。もちろん、ヘルタを押しのけて。ああ、改めて見ても……美形だわ。彼は意気消沈といった顔で、私に頭を下げた。

「……人違いだったみたいだ。すみません」

そ、そうなの? まあそうか、カルラなんて人、私知らないもの。

「本当によく似てるけど……でもよく見たらカルラより美人だな」

あら、やだそんな事ないわよ……ってカルラさんは知らないんだけど。でも誉められたんだもの、悪い気はしないわ。

「人違いだと分かったんなら、さっさと行け」

ヘルタ、私に押しのけられたのをいまだに根に持ってるのね。私はもうちょっとこの人と話したいの。邪魔しないでほしいわ。私はちょっと離れたところでこっちを睨んでいるヘルタを睨み返した。

その時、誰かが走ってきた勢いのまま、私にぶつかった。

「きゃあっ」

後ろから押されて思わずつんのめる。転んじゃう! そう思った時、誰かの腕が私を支えた。これはヘルタじゃない。あんなごつくない……けど、しっかりと私を抱きかかえてる。もちろんこれは、目の前にいた彼、よね。

「大丈夫?」

にこやかな笑顔。なんて素敵。

「貴様、お嬢様を離せ」

慌てて駆け寄ってきたヘルタが私の腕を掴んでる。むしろあんたが離せってのよ。

「何言ってるのヘルタ、彼は私を助けてくれたのよ」

残念ながら彼の腕を離れ、私はヘルタに向き直った。この際、はっきり言っておかなくちゃ。

「いちいち目くじら立てなくてもいいの。必要な時は呼ぶわ、それまで邪魔しないで」

ヘルタはあからさまに怒ったようだったけど、そんなの気にしない。文句でも言おうものなら、お父様に言いつけてやるんだから。第一、私を心配してくれてるとは思えない。ヘルタだけじゃないわ、アルゴスもカーザも、みんな仕事に忠実なだけ。私に何かあってお父様にこっぴどく叱られるのが嫌だから、いちいちうるさく言うのよね。

「少し話でもしませんか」

青灰色の髪をかきあげて、彼が言う。私は出来る限り可愛く見えるように、手を組み合わせて言った。最上級の微笑みつきで。

「こんな素敵な方とご一緒できるなんて嬉しいわ」

「お嬢様……」

ヘルタがため息をついているけど、私は聞こえない振りで彼と歩き出した。

「そうだ、まだ名前も聞いてなかったわね。私はエレフォア。貴方は?」

「俺はグレイ。こんな素敵な人と出会えた、幸運な男です」

「まあ」

−3−

ジータはあくどい奴だった。まあそりゃ盗賊ギルドでいい人間を探す方が難しいんだろうけど。それにしても、ジータはやりすぎだった。

盗賊ギルドには掟がある。普通の生活してる奴らとはちょっと違う掟が。「欲しいものは何でも自分で手に入れる事」ってのがそれ。人を陥れたり、ずるい手段を使って取引しようなんざ、盗賊の風上にもおけねえ。自分の手で盗んでくるのが盗賊ってもんだろう。俺は組織なんて嫌いだけど、奴らだってそれぞれに誇りを持って仕事をしてるんだ。

だけどジータは違った。欲しいものは何でも……どんな手段を使ってでも手に入れるってのが奴のやり方だった。そんでもってギルド長にまでなったってわけだ。

まあ奴が何をしようと、どんな悪事を働こうと、ギルドの奴らには関係がない。悪人を諌めようなんて正義感を持ってる奴はいない。所詮、悪党の集まりだ。だからジータはやりたい放題だった。

だけど奴の幸せな日々も終わる日が来た。奴の悪評が盗賊ギルド全体に影響を及ぼし始めたとあっちゃ、ギルドも奴を無視するわけにいかなくなったんだ。奴をギルド長にしてはおけない。そう言って立ち上がったのがゼルアルの一派だった。で、結局、ゼルアルが勝ったってわけ。

ジータは今後一生ギルドに関わらない事を誓わされ、ギルドを追放された。そりゃあ、悔しかったんだろう。奴はギルドで大切に保管されてた鉱石をいくつも盗み出した。その大半はゼルアルたちが盗み返したらしいけど、まだいくつかはジータが抱えてる。例の宝石は盗まれた石の中でも特別に大きな粒で、美しい宝石として磨かれ、今はジータの娘、エレフォアの胸元を飾ってるってわけ。……おっ、あれだな。

二階にあるバルコニーを見上げる。あそこへ辿り着くには、まずこの石造りの手すりを登らきゃいけない。何だってこんな手の込んだ細工の石を積み上げるんだ。しかし幸い、手すりにはつたが絡まっていた。それを伝えば、難なく登れるってわけ。ご親切なこった。ま、盗賊用ってわけじゃないんだろうけどな。

広々としたバルコニーに身を躍らせる……前に、きちんと左右を確認する。人がいないのは分かりきってるけど、この確認をしないで痛い目を見た事があるからだ。素早さと安全性を計りにかければ、素早さが勝つ。結局それが安全を導くからだ。しかし不必要に急いだり、焦ったりする事が身の破滅を呼ぶ事もある。一番大事なのは、釣り合いってやつだ。

バルコニーから覗ける部屋には大きな寝台が一つ。そこで寝ているはずの主人に気づかれる事なく、隣へ移る。俺は、この緊張感が好きだ。そしてもう一つ、上手く盗み終えた時の快感。これがあるから盗賊はやめられない。

更に奥へ。壁伝いにようやく辿り着いたのは、先程のよりは少し狭い、しかし充分に広いバルコニーだった。金持ちの屋敷である証明に、窓にはいくつものガラスがはめこまれてるが、それを叩き割るわけにはいかない。大きな音をたてれば、夜中とは言え家人を起こす羽目になる。

中へ入るための扉は頑丈で、当然、鍵がかかっている。このバルコニーから屋敷内へ忍び込むのは、普通なら至難の業といったところ。だけど、今の俺にしてみりゃ他愛もない事だ。このためにわざわざ混雑してる市場まで出かけてって、おまけに彼女を転ばせるのに人まで雇ったんだからな。

口笛を吹きながら、窓板を小さく叩く。すると、すぐに鍵の外れる音がして扉が開いた。

「来てくれたのね!」

エレフォアが扉を開けるのは計算どおりだった。彼女は信じられない、といった顔で手招きしている。広くあいたドレスの胸元は、滑らかな白い肌。そしてそこには赤く透き通る宝石。彼女と同じ名を持つその石は、この世に二つとない輝きを放っている。

「グレイ、本当に来てくれるなんて」

「会いに来ると言ったろ」

「でもまさか、来られるとは思わなかったのよ」

「何故?」

「だって……その、警備が厳重でしょう? 門は固く閉じていて、門衛がいるわ。塀は高いし……例え敷地内に入れたとしても、犬たちがいる。それに、ここは二階よ」

「そんなものエレフォアに会いに来るのに何の障害にもならないよ。俺と君を邪魔するものは何もない」

頬を赤らめるエレフォアの手を取って、部屋を見回す。彼女の部屋は広く、柔らかな絨毯が敷き詰められていた。天蓋のついた寝台と、素晴らしい細工のしてある机、くつろぐための長椅子も美麗な刺繍がしてある、上等なものだ。これぞ本物のお嬢様の部屋ってやつかな。

壁には芸術的な絵画、床には凝った細工の彫刻。まったく、素晴らしいね。俺の腕がうずくよ。けど、今回の目的は君たちじゃない。なまめかしく俺を見ているジーンの彫刻に片目をつぶって見せる。

長椅子の前にはガラスを張った大きな机。これいくらしたんだろうな。机の上には銀の器が置かれ、いつでも食べられるように果物が盛られている。

「いい香りだね」

俺は果物の山からウィムを手に取った。薄い緑の皮をむいて、柔らかな果肉にかじりつく。長椅子に腰掛けると、エレフォアが寄り添うように隣に座った。彼女の肩に手を回す。

「俺の仕事、教えたっけ?」

「いいえ、だって私たち、まだ会ったばかりじゃない。旅をしてるって事と、グレイって名前しか知らないわ」

「俺はね、盗賊なんだ」

「まさか!」

「本当だよ。だってほら、エレフォアを盗みに来たろう?」

もちろん、嘘なんかついてない。

「もう、グレイったら」

彼女は照れてうつむいた。俺はウィムの残りを投げ捨て、彼女を抱き寄せる。指をあごに添えると、頬が見事なまでに紅く染まる。俺は彼女を長椅子に押し倒した。こういう時はちょっとぐらい強引な方がいいんだ。両腕を彼女の背中に回し、その蜂蜜色の髪に指を絡ませる。

「俺が欲しいのはエレフォアだけさ」

もちろんこれも、嘘じゃない。

――開け放った窓から、夜風が優しく吹き込む。

エレフォアの顔にかかった髪を優しく払いのけると、彼女は可愛い吐息を漏らした。よく寝てる。俺はそっと体をずらし、彼女を起こさないように布団から抜け出した。

エレフォア、君はとても可愛いよ。ちょっと世間知らずのお嬢様だけど、それも可愛いところさ。

寝入ってる彼女を横目に、寝台の横に散らばっているドレスを手に取る。そして、ごちゃごちゃと絡まった服の中から、俺がさっき外した首飾りを探し出した。燦然と輝く赤い石。さすがに綺麗だ。

「ごめんね、これはもらっていくよ」

心の中で呟いて、静かな寝息を立てる彼女の髪に軽くキスをする。目覚めた時、彼女は騙された事を思い知るだろう。それを思うと、欠片ばかりの良心が痛まない事もない。けど、こればかりはやめられない。つくづく思うよ。盗賊は俺の天職なんだ。

外はまだ闇を司どるナウラが支配する時間だった。だが東の空にはうっすらと朝が近づきつつある。明けの明星とエレフォア。どちらも美しいが、今の俺に、星に見とれている暇はない。明けの明星が出る前にさようならだ。

どうか恨まないで、可愛いエレフォア。素敵な恋がしたいと言ってたね。君の夢は叶ったわけだ。これはその代償さ。

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